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ニキビの治療にも使用できるクラリスロマイシン

クラリスロマイシンは、クラミジア感染症の治療やヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療に用いられるマクロライド系抗生物質ですが、カンピロバクター腸炎やレジオネラ感染症など数多くの疾患の第1選択薬となっている治療薬です。クラミジア感染症の治療は、成人の場合力価200mgを1日2回の服用を7日間程度継続しますが、安全性が高く小児への投与が可能なので小児の体重1kgあたり10mg?15mgの用量を2回?3回に分けて投与されています。また、クラリスロマイシンはニキビ治療にも有効とされ、クラリスロマイシンを配合している軟膏だけでなくニキビの炎症性皮疹を引き起こすアクネ菌に対する感受性と抗炎症作用が高いことから内服薬も有効です。また、比較的副作用が少なく発症頻度も低く安全性が確保されているので、子どものニキビの治療にも用いられている抗生物質です。

クラリスロマイシンは、クラミジア菌やニキビのアクネ菌のタンパク質を生合成を阻害する抗生物質であり、細胞内タンパク質の生合成抑制がタンパク質の不足を引き起こし病原細菌の増殖を抑制する静的殺菌作用を発揮します。クラリスロマイシンは、タンパク質を生合成する小器官リボゾームを構成する50Sサブユニットと30Sユニットのうち分子量の大きな50Sサブユニット選択的に結合し、正常な細胞内タンパク質の生合成を抑制し枯渇させることで静的に死滅させる抗生物質です。人間のリボゾームは、40Sサブユニットと60Sユニットで構成されていますが、病原細菌のリボゾームは50Sリボゾームと30Sリボゾームで構成されています。クラリスロマイシンは、50Sサブユニットと選択的に結合するので人間のサブユニットと結合することがなく、副作用の発生頻度や重症化リスクも低いので子どもも経口服用できる抗生物質です。

細胞内タンパク質の生合成を抑制する効果だけでなく、免疫調整作用と抗炎症作用があることからびまん性汎細気管支炎や慢性副鼻腔炎などの治療に用いられています。クラリスロマイシンは、飲み込み消化する貪食殺菌で感染を防ぐ好中球や免疫細胞をコントロールするT細胞の働きを抑制することでアレルギーなどの組織障害を抑制するとともに粘膜バリアの過剰分泌を抑制し、免疫調整作用と抗炎症作用を発揮します。クラリスロマイシンは、緑膿菌などの細胞壁の厚いグラム陰性細菌には医薬効果を発揮できませんが、緑膿菌などが形成する防御膜バイオフィルムを破壊する作用も持っている抗生物質です。

クラリスロマイシンは、感染者の細胞に医薬効果を及ぼさないので副作用が少ない抗生物質ですが、胃痛や下痢など胃腸関連の軽微な副作用を発症する抗生物質です。長期服用患者や高齢者は、肝臓や腎臓の機能が低下しているので急性腎機能障害や急性肝機能障害などの重篤な副作用を発症することが稀にあり、意識レベルの低下や呼吸困難など発症するアナフィラキシーショックだけでなく骨格の細胞が壊死する横紋筋融解症や堪えがたい腹痛を伴う大腸炎などの重篤な副作用を発症することがあるので注意が必要です。