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アモキシシリンは性病以外にも使える!

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アモキシシリンは、淋菌や梅毒トレポネーマなどの性病に良く効くペニシリン系抗生物質ですが、性病だけでなく肺炎を引き起こす肺炎球菌や下痢を引き起こす大腸菌に加え、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの胃腫瘍にも効くβラクタム系抗生物質でもあります。また、アモキシシリンは胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの胃腫瘍の原因とされるヘリコバクター・ピロリ菌にも強力な殺菌作用を発揮する除菌薬であり、マクロライド系抗生物質クラリスロマイシンと胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬とともにヘリコバクター・ピロリ菌の除菌に用いられている抗生物質です。アモキシシリンは人間だけでなく小型の犬や猫にも比較的簡単に投与可能な治療薬であり、小型の犬や猫に対しては細菌性皮膚感染症の治療薬として体重1kgあたり10mg?20mgを1日2回の服用を5日間継続します。

アモキシシリンとクラリスロマイシンは、ペニシリン系抗生物質とマクロライド系抗生物質の主成分の違いだけでなく、病原菌の細胞壁を崩壊させて死滅させる動的殺菌作用と細胞の生存に必要不可欠なタンパク質の生合成を阻害して死滅させる静的殺菌作用の違いが最も大きな違いです。アモキシシリンは、病原菌の細胞膜の外層を形成する細胞壁の主要構成物質ペプチドグリカンの生合成を阻害する抗生物質であり、感染患者の細胞にはない細胞壁に作用するので副作用が少ない安全性の高い治療薬です。ペプチドグリカンは、アミノ酸が短く連なったペプチドと糖で構成されている高分子化合物ですが、トランスグルコシラーゼやトランスペプチダーゼなどのペニシリン結合タンパク酵素によって生合成されます。βラクタム系抗生物質のアモキシシリンは、ペニシリン結合タンパクを構成するセリン残基や水素と酸素で構成される水酸基と選択的に結合することで酵素の活性化を抑制し、ペプチドグリカンの生合成量を減少させることで細胞壁を脆弱化させる治療薬です。細胞は、細胞内の液胞で細胞壁の浸透圧をコントロールしていますが、脆弱な細胞壁は液胞がコントロールする浸透圧に耐え切れなくなり溶菌し死滅します。

アモキシシリンは、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌に用いられているペニシリン系抗生物質なので小腸や大腸などの下部消化器官にも抗菌作用を及ぼすことも少なくなく、胃や腸の弱い人は吐き気や嘔吐などの胃症状を発症する人が少なくありません。アモキシシリンは、強い抗菌作用が腸内細菌の一部を死滅させることもあり、下痢や軟便などの腸の異常や不調を訴える患者もいます。体質や既往歴によっては、発熱を伴う小さな発疹を発症することがあり、次第に重篤なじん麻疹に移行し顔や口が腫れることがごく稀にあります。重篤な副作用には、全身の倦怠感や側腹部の腹痛を伴う急性腎不全に加え、皮膚や白目が黄ばむ黄疸を発症する急性肝機能障害などの重篤な副作用を発症する危険性があるので注意が必要な抗生物質です。